都知事の独断で条例制定?!都の新型コロナ対策条例を徹底解説。

こんばんは。こまつです。

いよいよ本日、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って「緊急事態宣言」が発令されました。これまでにも「不要不急の外出自粛要請」は行われてきましたが、緊急事態宣言はさらに強いメッセージ。これによって、テレワークへ完全移行する企業などもあるのではないでしょうか。

さて、今日の話題は、初の都政ネタです。

緊急事態宣言発令のニュースに隠れ気味になってしまいましたが、都の「東京都新型コロナウイルス感染症対策条例」が専決処分で制定されました。

国会が「立法府」として「法律」を制定していくように、地方自治体でも、区議会や都議会が「議決」することで、その地域におけるルールを「条例」として制定することが出来ます

今回の新型コロナ対策条例では、都議会に議案を諮ることなく、都知事のいわば独断(地方自治法第179条第一項の「専決処分」)で、条例を制定させました。
新型コロナウイルス対策で、スピード感が必要、という趣旨は大いに理解するところですが、議会で議論されることなく、条例制定がされたという点からも、条文はしっかり目を通しておかねば…!
ということで、本日のブログは、都の「新型コロナ対策条例」を徹底解説します!

東京都新型コロナウイルス感染症対策条例

(目的)
第一条
 この条例は、東京は日本の首都として政治、経済、文化等の中枢機能が集中している世界でも有数の大都市であること、都民の大部分が現在新型コロナウイルス感染症の免疫を獲得していないこと等から、新型コロナウイルス感染症が都内に急速にまん延し、かつ、これにかかった場合の病状の程度が重篤となるおそれがあり、また、都民生活及び都民経済に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部が設置された場合における新型コロナウイルス感染症対策等を定めることにより、新型コロナウイルス感染症のまん延の防止に関する法律と相まって、新型コロナウイルス感染症に対する措置の強化を図り、もって都民の生命及び健康を保護し、並びに都民生活及び都民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とする。

(定義)
第二条
 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 新型コロナウイルス感染症新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号。以下「法」という。)附則第一条の二第一項に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。
二 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部知事が法第二十二条第一項に基づき設置する都道府県対策本部をいう。
三 新型コロナウイルス感染症対策東京都新型コロナウイルス感染症対策本部が法第二十二条第一項の規定に基づき設置された時から、法第二十五条の規定に基づき廃止されるまでの間において、東京都(以下「都」という。)が法令等の規定により実施する措置をいう。

(都の責務)
第三条
 都は、新型コロナウイルス感染症対策を的確かつ迅速に実施し、及び都の区域において関係機関が実施する新型コロナウイルス感染症に係る措置を総合的に推進する責務を有する。
2 都は、新型コロナウイルス感染症対策を実施するに当たっては、国、他の地方公共団体並びに指定公共機関(法第二条第六号に規定するものをいう。)及び指定地方公共機関(同条第七号に規定するものをいう。)と相互に連携協力し、その的確かつ迅速な実施に万全を期さなければならない。

(都民及び事業者の責務)
第四条
都民及び事業者は、新型コロナウイルス感染症の予防に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策に協力するよう努めなければならない。
2 事業者は、新型コロナウイルス感染症のまん延により生ずる影響を考慮し、その事業の実施に関し、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 都民及び事業者は、新型コロナウイルス感染症の患者等、医療従事者、帰国者、外国人その他の新型コロナウイルス感染症に関連する者に対して、り患していること又はり患しているおそれがあることを理由として、不当な差別的取扱いをしてはならない。

(審議会の意見)
第五条
 知事は、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部の長が法第二十四条第九項の協力の要請その他の新型コロナウイルス感染症対策を実施するときは、必要に応じ次条第一項に規定する審議会の意見を聴くものとする。
2 知事は、法第四十五条第一項若しくは第二項の要請又は同条第三項の指示を行おうとするときは、あらかじめ、次条第一項に規定する審議会の意見を聴かなければならない。

(東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会)
第六条
 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部が法第二十二条第一項の規定に基づき設置された時から、法第二十五条の規定に基づき廃止されるまでの間、新型コロナウイルス感染症対策を総合的かつ効果的に推進することを目的に、専門的な見地から調査審議するため、知事の附属機関として、東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、新型コロナウイルス感染症に関し識見を有する者のうちから、知事が任命する委員五人以内をもって組織する。
3 審議会の委員は、審議会が存続する間、その任にあるものとする。
4 審議会は、特定の事項を調査審議するため必要があると認めるときは、専門委員又は部会を置くとともに、関係者から意見を聴くことができる。
5 委員及び専門委員は、非常勤とする。
6 第二項から前項までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、知事が定める。

(都民及び事業者への支援等)
第七条
 知事は、新型コロナウイルス感染症対策を実施するに当たって、都民及び事業者に対し、必要な支援を行うよう努めるものとする。
2 都は、新型コロナウイルス感染症対策に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(基本的人権の尊重)
第八条
 都民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、新型コロナウイルス感染症対策を実施する場合において、都民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型コロナウイルス感染症対策を実施するため必要最小限のものでなければならない。

(委任)
第九条
 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、東京都規則で定める。

附則 この条例は、公布の日から施行する。

全文は少し長めなので折りたたみました。
東京都新型コロナ対策条例の、コマツ的チェックポイントは以下の3つです。

  1. 患者・医療従事者等への不当な差別の禁止(第4条)
  2. 対策審議会の設置と都民・事業者への支援(第5条~第7条)
  3. 都民の自由と権利を守る。基本的人権の尊重(第8条)

では、一つずつ、関連条文とともに見ていきましょう。

患者・医療従事者等への不当な差別の禁止(第4条)

(都民及び事業者の責務)
第四条
都民及び事業者は、新型コロナウイルス感染症の予防に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策に協力するよう努めなければならない。
2 事業者は、新型コロナウイルス感染症のまん延により生ずる影響を考慮し、その事業の実施に関し、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 都民及び事業者は、新型コロナウイルス感染症の患者等、医療従事者、帰国者、外国人その他の新型コロナウイルス感染症に関連する者に対して、り患していること又はり患しているおそれがあることを理由として、不当な差別的取扱いをしてはならない。

みなさん手洗い・うがいをしてください、企業はリモートワークや時差出勤を進めてください、というこれまで何度も言われてきた内容に加えて、目を見張るべきは第3項です。
新型コロナウイルス感染症の患者や医療従事者などへの、罹患していること・罹患の恐れがあることを理由とした不当な差別的取り扱いを禁じています。

最近では、福島県の郡山女子大で、学内で感染者が出たことを揶揄する言葉を浴びせられるなどの嫌がらせ被害が発生しているとのニュースもありました。
患者や関係する方々への人権を配慮するためのプッシュが盛り込まれたのは評価ポイントだと思います。

対策審議会の設置と都民・事業者への支援(第5条~第7条)

(審議会の意見)
第五条
 知事は、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部の長が法第二十四条第九項の協力の要請その他の新型コロナウイルス感染症対策を実施するときは、必要に応じ次条第一項に規定する審議会の意見を聴くものとする。
2 知事は、法第四十五条第一項若しくは第二項の要請又は同条第三項の指示を行おうとするときは、あらかじめ、次条第一項に規定する審議会の意見を聴かなければならない。

(東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会)
第六条
東京都新型コロナウイルス感染症対策本部が法第二十二条第一項の規定に基づき設置された時から、法第二十五条の規定に基づき廃止されるまでの間、新型コロナウイルス感染症対策を総合的かつ効果的に推進することを目的に、専門的な見地から調査審議するため、知事の附属機関として、東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、新型コロナウイルス感染症に関し識見を有する者のうちから、知事が任命する委員五人以内をもって組織する。
3 審議会の委員は、審議会が存続する間、その任にあるものとする。
4 審議会は、特定の事項を調査審議するため必要があると認めるときは、専門委員又は部会を置くとともに、関係者から意見を聴くことができる。
5 委員及び専門委員は、非常勤とする。
6 第二項から前項までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、知事が定める。

(都民及び事業者への支援等)
第七条
知事は、新型コロナウイルス感染症対策を実施するに当たって、都民及び事業者に対し、必要な支援を行うよう努めるものとする。
2 都は、新型コロナウイルス感染症対策に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

小池知事は、「新型コロナウイルス感染症対策審議会」を設置し、専門家の方々に諮問することができるようになりました。
最近では、国の専門家会議の有志の専門家の方々がnoteを利用した情報発信を進めるなど、目新しい取り組みも進められていますが、
都は、「自治体」として、クラスター対策やマスク等生活必需品の供給体制の検討に留まらず、経済へのインパクトや生活保障についてもしっかりと議論いただき、政策に落とし込んでいってほしいと切に願います。

都民の自由と権利を守る。基本的人権の尊重(第8条)

(基本的人権の尊重)
第八条
 都民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、新型コロナウイルス感染症対策を実施する場合において、都民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型コロナウイルス感染症対策を実施するため必要最小限のものでなければならない。 

ロックダウン(都市封鎖)は、感染拡大防止へ大きく貢献する一方で、たとえ一時的であったとしても私たちの「自由」を、国家という「権力」が奪うことにもつながります。

普段当たり前にできている行動も、先人たちが汗を流し、時に血を流し、長年の歴史の中で勝ち取ってきた「権利」を、為政者が制限することは、どんな理由であれ、努めて抑制的でなければならないのです。
Twitterでバズっていたメルケル首相の発言のように。

ルールメイキングの世界では、こうした内容が盛り込まれたことは大変に意義深いものだと思います。
「コロナ対策だから」の名のもとなら何でもあり、と為政者の横暴を許さないためにも、しっかりと胸に刻んでおきたいものです。

長くなったので、そろそろまとめます。
都の「新型コロナ対策条例」は、小池知事の専決処分によって、即日で公布されました。
先にも触れた通り、本来条例の制定には議会の議決が必要で、専決処分を行った場合でも、事後に報告や承認が必要になります。都議会は、コロナ終息後にしっかりと検証し、次なる「恐れ」への備えを進めるべきです。
また、言わずもがな、条例制定だけで、感染拡大を食い止めることができるわけではありませんが、対策を進めるうえでのベースが出来たのも事実。
世界各国が大胆な財政出動に繰り出すなかで、 わが国は、「お肉券」「お魚券」から始まり、いわゆる水商売や風俗業の方への支援の問題、マスクの全戸配布、現金給付など、観測気球をあげては国民の反応を伺って、の繰り返しで「守りの姿勢」になっているケースばかり。

「国がやらないなら、東京都がやる」
これは石原元知事がよく口にしていた言葉ですが、まさに今こそ、東京都が先陣を切って、「自治体から変えていく」「自治体からコロナ対策を進めていく」という動きを加速させるべき、と強く思います。

久々に気合を入れたブログ記事になりました。
どんな状況にあろうとも、社会を、政治を諦めずに、前に進めていきたいものです。

それでは、また明日。

今日のこまつ

私の住む江東区内では「#深川テイクアウト」という、地域のお店のメニューをテイクアウトでいただくムーブメントが進んでいます。 明日からリモート勤務になったので、ランチタイムは期待大!!

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