こんばんは、江東区の小松みきひでです。
本日の都議会で、「東京都でも、来年度内に同性パートナーシップ制度を導入すること」を小池知事が表明されました。
これまで、同性パートナーシップ制度の導入については、都議会でも何度も取り上げられてきましたが、今年3月の時点では、まるでゼロ回答でした。
オリンピックが近づいた今年6月には、知事が当事者団体と会談し、「(時期を明言することなく)導入を検討する」と発言。一歩前進、といった流れに。
そして、昨日の都議会で、ようやく「来年度中の導入を目指す」「今年度、制度の基本的な考え方を示す」という方向を示されるに至りました。
遅きに失したとはいえ、当事者団体のみなさんの粘り強い折衝と、オリンピック・パラリンピック大会も契機にした世論の高まりで都政を動かした、まさに歴史的な一ページになることでしょう。
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ただし!!!
「同性パートナーシップ制度が導入されるんだね!わーいわーい!」と諸手を上げて喜ぶわけにはいきません。(そんなことをしている政治家がいたら、私が許しません!)
「紙(証明書)もらって終わりなんだよね」ということもしばしば耳にしますが、本丸は、同性パートナーシップ制度の導入そのものではなく、むしろその制度によって、「同性カップルの皆さんの生活が、どのように変わっていくか、豊かになっていくのか」こそ重要です。
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たとえば、都の実施する結婚支援事業「TOKYOふたり結婚応援パスポート」というのがあります。新婚でなくとも、婚約したカップルも対象になるそうです。
この仕組み、同性カップルは使えるのか。サービスを受けられるのか。残念ながら、どこにも記載がありません。
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結婚支援事業だけではなく、こうした不合理はたくさん存在します。
今回導入されることになったパートナーシップ制度が実効性あるものとするためには、「結婚」あるいは「婚姻」が『条件』になっているような行政サービスがないか棚卸をする必要があります。
では、ここから都議会議員並みの仕事をしていきますよー!笑
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みなさん、「例規集」をご存知でしょうか。
「条例」や「規則」などをまとめた、例規集。いわば自治体の「ルールブック」です。
そう。東京都・都政のルールブックである例規集から、「結婚」や「婚姻」で検索をすればアテがつくのではないか!というのが、今回の政策調査(?)のポイントです。
では、東京都例規集を開いてみます。
東京都例規集 https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/
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まずは、「結婚」という言葉が含まれる都のルールを調べてみます。ポチー。

40件の条例や規則・規程等がヒットしました。
試しに、一つ開いてみます。気になったので、東京都駐車場条例。「結婚式場」の「結婚」がヒットしました。結婚式場の近くには駐車場を置くように、とかいうルールなんでしょうか。今回の対象とは違いそうですね。

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では次にそれっぽいものを。「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例」です。ぽちー。
ありました!ありました!!
「特別休暇」の欄に、「任命権者は、職員が選挙権の行使、結婚、出産その他の特別の事由により…(中略)…慶弔休暇…(中略)…を承認するものとする」とあります。
難しい言葉が並んでいますが、簡単に言えば、「上長である都知事は、職員が結婚するときは慶弔休暇を承認しますよ」という話です。

「じゃあこれ、同性カップルがパートナーシップ制度で宣誓をしたときに使えるの?!」「使えるようにするためには何が必要なの?!」と考えていくのが次のステップになります。
2項に「特別休暇に関しその内容、期間その他必要な事項は、人事委員会の承認を得て、東京都規則で定める」とあるので、その規則とやらを調べてみます。
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ありました、ありました。「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例施行規則」。慶弔休暇に関するルールが24条に記載されていました。

2項によれば、都庁職員の方は、結婚するときは「引き続く七日」休めるんですね。5項には、「結婚等の事実を確認できる証明書等を示さなければならない」と書いてあります。
が、パートナーシップ制度で同性カップルとして証明された場合も、現時点で法的に「結婚」とは言えないので、慶弔休暇を取得することはできません。
という指摘もあるかもしれませんが、2項の二号と三号には、親族が死亡した場合や、追悼のための特別な行事を行う場合に関する記載がありますから、ここでいう「等」は、死亡証明書や法事の案内などが該当するものを指しているのでしょう。これが解釈、というやつですね。
ですので、処方箋としては、この規則に「パートナーシップ制度を利用して同性カップルと証明された場合も、結婚と同様とみなす」みたいな文言を盛り込んでいく必要がありそうです。
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同じく、「婚姻」というワードで検索をしたところ92件がヒットしました。

その対象は、先に述べたような都庁職員の福利厚生に関するルールだけではありません。都営住宅や福祉関連の条例など、都民生活に直結するルールにも「婚姻関係」に関する記載が見られます。
たとえば「東京都女性福祉資金貸付条例」には、離婚した女性など、「配偶者のない女子」に資金を貸し付ける、という記載があります。
「では、女性同士のカップルが関係を解消したときにこの条例は適用されるのか」という論点がありそうです。
こういった感じで、条例や規則等の文言の「棚卸」を、とことんやっていく必要があるのです。
(都立病院の話が出てこなかったけど、手術の同意や付き添いのルールはどこにあるんだろう…)(病院経営本部に聞きたい…)
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肝心要の適用範囲に関する議論が疎かになれば、今回のパートナーシップ制度の導入も有名無実化してしまう可能性も否めません。今こそ、都議会からのチェックと後押しが必要です。
年明けには、都議会の予算特別委員会や決算特別委員会が開かれます。都の事務事業であれば広く質問が出来る場です。
都議会各会派の先生方におかれましては、ぜひこのパートナーシップ制度を通して、少しでも適用範囲が広がるよう、喧々諤々の議論を期待してやみません。

都議会議員の皆さん、この仕事手伝いますよ…!笑
それでは、また。
ちょっと待って!結婚「等」の事実を確認できる証明書って書いてあるよ!