ちょっと待って!IT業務民営化を「実のある改革」とするための大阪府政への3つの提案

こんばんは、江東区の小松みきひでです。

大阪府が、庁内のIT関連業務を民営化させるため、新たな事業会社の設立を検討している、というニュースがありました。

産経新聞の記事によれば、「好待遇での専門人材確保につなげ」ることを目的としているようです。

とはいえ、このニュースには賛否両論。私自身も思うところがありましたので、筆を取った次第です。

役所がIT人材をいかに集めるか

これまで行政組織、官僚機構は、スペシャリスト(専門家)の育成よりも、ジェネラリスト(何でも屋)の育成に重きを置いてきました。

また、IT業界全体に目を向けると、人材不足が相次ぎ、特に技術を持ったコンサルタントやエンジニアの給料はどんどん上がる傾向にあります。

たしかにこの現状では、(IT業界と比べ給料の低い)役所に市場からスキルを持った優秀な方々が集まりにくいという点が指摘されます。

役人・官僚の皆さんの給料は「俸給表」という給料表で決められているのですが、IT人材に限って額面を一気に上げた俸給表を用意することも一つの解決策でしょう。

また、目黒区などでは、IT専門人材を係長・課長など一定のランクで採用する取り組みも行われており、こうしたものも参考になるかもしれません。(いや、でもこの給料は少ないな…)

とはいえ、こんなことは誰でも言えるわけでして、、、今回のブログでは論点をさらに掘り下げていきたいと思います。

ベンダーロックインと公共調達における公平・公正性

皆さん、ベンダーロックインという言葉をご存知でしょうか。

知見やノウハウが特定のベンダーのみに偏る状態が長期化したり、システムが複雑化したりすることでガラパゴス化し、「特定の事業者(ベンダー)に頼らざるを得ない」状態が続くことを指します。

「じゃあベンダーがバラバラならいいのか!?」という指摘には、現役コンサルとしては何とも言えないところですが…(汗)

もちろん継続的に良好な関係を築き上げ、常に最新のソリューションを提供し続けられれば良いのですが、裏を返せば新規参入が困難になることもあり、公共調達における公正性・公平性の観点からも、懸念点が全くないとまでは言い切れません。

新会社には、府のIT関連プロジェクトを寡占するだけの、他社にひけを取らないレベルまで、ソリューションの価値を常に向上し、府や府民に提供し続けられるかが問われます。

(繰り返しになりますが、特定のベンダーとの結びつきを否定するわけではありません)

情シスを子会社化する営みとDXの遅れ

ここからが割と本題です。

昭和60年代から平成初期にかけて、多くの大手民間企業では「情シス(情報システム)」部門の実働隊を子会社化する動きがありました。

我が国は、諸外国に比べ、業務部門よりもIT部門が社内構造的に弱く、システムの標準化や業務改革が進まない理由の一つとして指摘されています。

経済産業省が取りまとめた、いわゆる「DXレポート」でも、その弊害は以下のように指摘されています。

「既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化」

「経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題」

DXレポート

我が国が「デジタル敗戦」と言われた原因を辿れば、業務部門が強い(IT部門が弱い)社内の権力構造にあるといってと過言ではありません。

「情シス実働隊」の子会社化はそれを皮肉にも裏付け、進めてきた一因ともいえるでしょう。

我が国にはこうした反省がありながら、なぜ大阪府が「情シス子会社化」の動きをいま改めて取るのか。よく「行政は遅れている」と言えど、疑問が拭えません。

特に市民生活に身近な自治体のDXは急務です。DX推進の旗振り役は新会社か、あるいは、大阪府か。

責任の所在を明らかにすることはもちろん、自治体DXの推進の観点からもどれだけ自治体が旗振りを出来るのか、その役割分担は明確にしてほしいものです。

その他にも「マルチベンダー前提やんけ!責任のなすりつけあいが!」という現場の声も聞こえてきそうですが…(苦笑)

  • 「IT人材の確保が目的であれば、俸給表の改正などで内製化を試みるのも一つの手では?」という問いへの納得できる答え
  • 複数ベンダーによる出向を前提とする新会社が最新のテクノロジー、技術力を持つための仕掛け
  • 府政のDX推進は府・新会社のどちらが担うのか、各プロジェクトにおける役割分担と責任の所在の明確化

この3点を徹底的にクリアにすることが、新会社設立を府政・府民生活にとって「身のある改革」に結びつける鍵となるはずです。

大阪府議の方々に届けッ!

それでは、また明日。

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